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会社設立の社会保険早わかり

社長1人・役員報酬ゼロ・在職中、ケース別に加入と保険料を確かめる

会社設立 社会保険 いつから

会社設立の社会保険はいつから?加入日(資格取得日)が決まる仕組みと月単位の数え方

確認日 2026年10月11日10分で読めます『会社設立の社会保険早わかり』編集部

あなたの条件がこれなら 社長1人役員報酬あり設立直後
会社設立の社会保険はいつから?加入日(資格取得日)が決まる仕組みと月単位の数え方
この記事の目次(8項目)
  1. 加入日は「設立日」ではなく、法律の言葉で決まる
  2. この記事で使う言葉:社会保険・被保険者・適用事業所
  3. 社長が「使用されるに至った日」は、報酬の支給開始を手がかりにする
  4. 保険料は月単位:加入日が1日でも30日でも、その月から1か月分
  5. カレンダーで追う:4月1日に設立した38歳の社長の場合
  6. 加入日を境に、国民健康保険と国民年金はこう切り替わる
  7. 加入日についてよく聞かれること
  8. まとめ:社会保険の加入日は「事実の日」と「月」で考える

この記事を読んでほしい人

これから会社を設立する、または設立したばかりで、自分の社会保険が「何月何日から」始まるのかを知りたい社長に向けた記事です。登記の日と役員報酬を払い始める日がずれそうな方、月末に設立するか月初にするかで迷っている方が、日付を当てはめて考えられるようにまとめました。

加入日は「設立日」ではなく、法律の言葉で決まる

加入日=被保険者の資格を取得した日。条文は「使用されるに至った日」と「適用事業所となった日」を挙げている。

会社設立の相談で多いのが「社会保険は登記した日から入るのですか」という質問です。答えを先に置くと、加入日は会社の設立日そのものではなく、健康保険法と厚生年金保険法が定める「資格取得の時期」で決まります。多くの社長1人の会社では結果として設立日と同じ日になりますが、いつも一致するわけではありません。

健康保険法第35条は、被保険者は「適用事業所に使用されるに至った日」若しくは「その使用される事業所が適用事業所となった日」などから資格を取得すると定めています。厚生年金保険法第13条もほぼ同じ書き方です。社会保険の世界で「加入日」と呼んでいるのは、この資格取得日のことです。

会社をつくった直後の社長に当てはめると、問われるのは2つです。1つは、会社が健康保険・厚生年金保険の適用事業所になったのはいつか。もう1つは、社長が会社に「使用される」関係になったのはいつか。この2つの日付のうち遅いほうが、社長の加入日になると考えると整理しやすくなります。

健康保険法 第35条(資格取得の時期)|e-Gov法令検索デジタル庁 e-Gov/確認日 2026年10月11日

この記事で使う言葉:社会保険・被保険者・適用事業所

社会保険は健康保険と厚生年金保険。労災保険と雇用保険は「労働保険」。加入日の考え方も別になる。

ここでの「社会保険」は、健康保険と厚生年金保険の2つを指します。40歳から64歳の人は、健康保険とあわせて介護保険料も納めます。一方、労災保険と雇用保険は「労働保険」と呼び、従業員を雇ったときに関係する別の制度です。社長1人の会社設立では、労働保険の加入日を考える場面は原則としてありません。

言葉も短く言い換えておきます。被保険者は、その保険に入っている本人のこと。適用事業所は、健康保険・厚生年金保険に加入する義務がある(または認可を受けて加入した)事業所のことです。資格取得日は、ある人が被保険者になった日、つまり一般にいう加入日です。

用語の整理(2026年10月11日時点)
言葉 意味 加入日との関係
適用事業所 社会保険に加入する事業所 法人は社長1人でも、報酬を受ける人がいれば該当
被保険者 保険に加入している本人 役員報酬を受ける社長も含まれる
資格取得日 被保険者になった日 いわゆる「加入日」。保険料が何月分から始まるかを決める
労働保険 労災保険・雇用保険 従業員を雇うまでは原則関係しない

法人の事業所は、従業員がいなくても事業主のみで強制適用になる、というのが日本年金機構の説明です。社長1人の会社でも社会保険の加入日を考える必要があるのは、この前提があるからです。会社設立をしたら、まず「うちの会社は適用事業所か」を確かめ、次に「社長はいつから被保険者か」を考える、という順番です。そもそも加入するかどうかの判断は社長1人の会社の加入義務で詳しく扱っています。

事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日

社長が「使用されるに至った日」は、報酬の支給開始を手がかりにする

事実上の使用関係が生じた日。雇用契約のない社長は、報酬の支払いの始まりが判断の手がかりになる。

会社員なら入社日が加入日になるのが普通です。では、雇用契約を結ばない社長の「使用されるに至った日」はどう考えるのか。日本年金機構の疑義照会回答では、使用される日とは「事実上の使用関係が発生した日」として取り扱い、資格取得日を決めていると説明されています。

同じ回答のなかで、契約の開始日と実際に働き始めた日が一致しない場合は、報酬の支給開始を参考にして事実上の使用関係が生じた日を決める、とも書かれています。役員は法人から労務の対償として報酬を受けることで被保険者になるので、社長の加入日を考えるときも、役員報酬がいつから支払いの対象になっているかが手がかりになります。

設立と同時に報酬が始まる

設立した月から役員報酬の支払い対象になっていれば、会社が適用事業所になった日と社長の使用関係が生じた日が重なり、設立日が加入日になるのが一般的。

報酬の開始が後ろにずれる

設立後しばらく報酬ゼロなら、その間は被保険者となる人がいない。報酬の支払い対象が始まる時期が加入日の手がかりになるが、扱いは事情で変わるため年金事務所に確認する。

ここは解説サイトや相談掲示板でも見解が分かれているところです。報酬の支払いが後から始まる場合の加入日は、定款・株主総会の議事録などで役員報酬をいつから払うと決めたか、実際に働き始めたのはいつか、といった事情で判断されます。管轄の年金事務所に、決めた内容を書面で見せて確かめるのがいちばん確実です。報酬ゼロの期間がある場合の過ごし方は役員報酬なし・報酬ゼロのときを見てください。

疑義照会回答(厚生年金保険 適用)|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日

保険料は月単位:加入日が1日でも30日でも、その月から1か月分

加入した月から、喪失した月の前月まで。社会保険料に日割りはない。加入日の「月」が保険料の始まりを決める。

加入日が大事なのは、それが社会保険料の始まりの月を決めるからです。社会保険料とは、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料など、加入している人と会社が毎月納める保険料のことです。厚生年金保険法第19条は、被保険者期間は月で数え、資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までを算入すると定めています。

健康保険法も、保険料額は「各月につき」決まるとしたうえで、資格を喪失した月の分は算定しないと定めています。つまり、加入した月は日付にかかわらず1か月分がかかり、やめた月はかからない、という数え方です。日割りの考え方はありません。

会社設立の日付と、最初にかかる社会保険料の月
会社設立の日付と、最初にかかる社会保険料の月

表のとおり、4月30日に会社設立をして同じ日から加入しても、4月1日に加入した人と同じく4月分の社会保険料がかかります。月末の設立を避けたほうがよいと聞くことがあるのは、この月単位の数え方のためです。ただし、加入した月の分の保険料と引き換えに、その月は厚生年金保険の加入期間として年金額の計算にも入ります。損か得かだけで設立日を動かすより、事業を始める日に合わせるのが自然です。

注意

設立日をいつにするかの決め方そのものは、このサイトでは扱いません。社会保険から見た影響は、加入した月の保険料が1か月分になるという点に尽きます。

厚生年金保険法 第19条(被保険者期間)|e-Gov法令検索デジタル庁 e-Gov/確認日 2026年10月11日

カレンダーで追う:4月1日に設立した38歳の社長の場合

設立から最初の納付までの日付。東京都・協会けんぽ・役員報酬月30万円・38歳で、日付を順に並べる。

具体的な人物で日付を追ってみます。38歳、東京都で会社員として働いていたAさんが、3月31日に退職し、4月1日に株式会社を設立しました。社長はAさん1人、役員報酬は設立した月から月30万円を払うと決めています。

この場合、会社が適用事業所になる日と、Aさんが役員報酬を受けて会社に使用される日がどちらも4月1日なので、社会保険の加入日は4月1日です。前の勤め先の健康保険と厚生年金保険の資格は、退職日の翌日である4月1日に失っているので、同じ日に切れ目なくつながります。

Aさん(38歳・社長1人)の社会保険のカレンダー
Aさん(38歳・社長1人)の社会保険のカレンダー

比べるために、もう1人置きます。46歳のBさんは4月25日に会社設立の登記を済ませましたが、役員報酬は「5月分から月26万円」と株主総会で決めました。設立した日から報酬の支払い対象が始まるAさんと違い、Bさんは4月25日から月末までの間、会社から報酬を受けていません。この場合、会社設立の日をそのまま加入日とするのか、報酬の支払い対象が始まる5月1日とするのかが論点になります。

どちらになるかで、最初にかかる社会保険料が4月分か5月分かが変わります。Bさんは40歳以上なので、標準報酬月額26万円・東京都・令和8年度なら、本人負担だけで健康保険料12,805円・介護保険料2,106円・子ども・子育て支援金299円・厚生年金保険料23,790円の、合わせて月39,000円です(会社負担もほぼ同額)。1か月のずれでも小さくない額なので、報酬の決議の内容を見せて年金事務所に確かめておくと安心です。

届出は事実発生から5日以内とされていますが、様式や添付書類の書き方はこのサイトでは扱わず、「会社設立後の手続き」のテーマに委ねます。最初の保険料がいくらで、どの報酬から本人負担分を差し引くかは社会保険料はいつから払う?初回の支払いで、Aさんと同じ条件の計算を載せています。

新規適用の手続き|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日

加入日を境に、国民健康保険と国民年金はこう切り替わる

加入した月は第2号被保険者の月になる。国民年金の種別が変わった月は、変更後の種別として数える決まりがある。

退職から会社設立までに日数があいた人は、その間に国民健康保険と国民年金(第1号被保険者)に入っています。会社の社会保険に加入したら、この2つは加入日を境に切り替わります。

健康保険のほうは、国民健康保険法が「健康保険の被保険者」を国民健康保険の被保険者から除いているため、会社の健康保険に加入した時点で国民健康保険の対象から外れます。ただし、脱退の手続きは自動では行われません。世田谷区などの案内では、職場の健康保険に加入したら14日以内に届け出るよう求めています。国民健康保険料をどの月まで払うかの精算は市区町村が行うので、届出のときに確かめておきます。

年金は、厚生年金保険に加入すると国民年金の第2号被保険者になります。国民年金法第11条の2は、被保険者の種別が変わった月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなすと定めています。たとえば4月20日に加入した場合、4月は第2号被保険者の月として扱われ、第1号としての国民年金保険料の対象から外れます。すでに4月分を納めていたときの扱いは、年金事務所に確かめてください。

退職後に国保・国民年金に入っていた人が4月に加入した場合(2026年10月11日確認)
加入日 その月の健康保険 その月の年金
4月1日 会社の健康保険(4月分の保険料) 第2号(厚生年金保険の4月分)
4月20日 会社の健康保険(4月分の保険料)。国保の精算は市区町村で確認 第2号として数える(第1号の4月分は対象外)

国民健康保険から会社の社会保険への切り替えをもっと詳しく知りたい方は個人事業主・国保からの切り替えを、退職後に任意継続を選んでいた方は任意継続と国民健康保険の比較をあわせて見てください。

国民年金法 第11条の2(種別の変更があった月)|e-Gov法令検索デジタル庁 e-Gov/確認日 2026年10月11日

加入日についてよく聞かれること

届出が遅れたら、加入日は動く?。加入日は事実で決まり、届出の日では決まらない。

最後に、会社をつくった直後の社長からよく聞かれる疑問を、加入日の考え方に沿って並べます。どれも「加入日は事実が生じた日で決まる」という一点から答えが出てきます。

Q. 届出を出した日が加入日になるのですか?
いいえ。資格取得日は、適用事業所に使用されるに至った日など、事実が生じた日です。届出が遅れても加入日は後ろにずれません。日本年金機構は、届出が適正でない場合には確認した事実に基づいて遡って手続きすることがある、と公表しています。
Q. 加入日を翌月1日にそろえることはできますか?
加入日は事実で決まるので、都合のよい日に動かすものではありません。報酬の支払い対象が月の途中から始まるなら、その事実に沿って判断されます。
Q. 設立したのに報酬をまだ決めていません。加入日は?
役員報酬がなく、ほかに被保険者となる人もいなければ、会社は適用事業所の要件を満たさず、社会保険にはまだ加入しません。報酬が始まるときに改めて加入日を考えます。
Q. 会社設立の前から仕事を始めていました。その期間も加入しますか?
会社が成立する前は、法人の適用事業所はまだありません。会社の社会保険の話になるのは会社設立のあとです。設立前の期間の健康保険と年金は、国民健康保険・国民年金や任意継続など、個人として入っている制度で考えます。
Q. 70歳を過ぎて会社をつくりました。加入日は同じ考え方ですか?
健康保険は同じ考え方で加入します。厚生年金保険は70歳未満が被保険者なので加入しません。詳しくは厚生年金と70歳の社長を見てください。

届出が5日を過ぎてしまったときの考え方は5日を過ぎた・遅れたときにまとめています。遅れても加入日そのものは変わらない、という点だけは先に覚えておくと慌てずに済みます。

厚生年金保険・健康保険などの適用促進に向けた取り組み|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日

まとめ:社会保険の加入日は「事実の日」と「月」で考える

事実が生じた日が加入日、保険料は月単位。設立日・報酬の開始・国保の切り替えを、同じカレンダーに書き込む。

会社設立後の社会保険がいつから始まるかは、登記の日ではなく、会社が適用事業所になった日と、社長が報酬を受けて会社に使用されるようになった日で決まります。設立と同時に役員報酬が始まる社長1人の会社なら、加入日は設立日と重なるのが一般的です。報酬の開始が遅れるなら、その事情を年金事務所に確かめます。

  • 加入日=資格取得日。健康保険法第35条・厚生年金保険法第13条が根拠
  • 社長の使用関係は、役員報酬の支給開始を手がかりに判断される
  • 社会保険料は月単位。月末に加入しても、その月の1か月分がかかる
  • 加入した月は国民年金の第2号の月。国保の脱退は14日以内に自分で届け出る
  • 届出が遅れても加入日は変わらない

加入日が決まれば、最初の保険料の月と納付期限も決まります。金額の見当をつけたい方は社会保険料はいくら?計算のしかたで、役員報酬の月額ごとの保険料を確かめてください。

厚生年金保険料等の納付|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日

最後に、読んでくださったあなたへ

会社設立の準備では、登記の日付ばかりに目が向きがちです。けれど社会保険にとって大事なのは、報酬が始まる日と、その日が何月に属するかです。手帳やカレンダーに、設立日・報酬の支払い開始・国民健康保険の脱退届の期限を一緒に書き込んでおくと、加入日をめぐる迷いはほとんどなくなります。日付の判断に迷う事情があるときは、決めた内容を書いたメモを持って、管轄の年金事務所に相談してみてください。

この記事の話題健康保険厚生年金国民健康保険社長

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