会社設立の社会保険はいくら?令和8年度の金額・計算・料率・会社負担を報酬別に整理
この記事の目次(9項目)
会社設立を考え始めて、社会保険に入ると毎月いくら出ていくのかを、ざっくりでもよいので先につかみたい方に向けた入口の記事です。個別の計算は子記事に譲り、ここでは「どの数字を見ればよいか」「どこで金額が変わるのか」を、判定の順番に並べています。
会社設立の社会保険はいくら?先に知っておきたい暗算の目安

会社設立のあとで必ず出てくる問いが、社会保険はいくらかかるのか、です。額表を開く前に、頭の中で見当をつけられる暗算の型があります。前提は「令和8年度・東京都・協会けんぽ・40歳未満」です。
社会保険とは、このサイトでは健康保険と厚生年金保険のことです。40〜64歳の人には介護保険が加わります。保険料は、毎月の報酬を一定の幅で区切った標準報酬月額に、料率を掛けて決まります。東京都の料率は、健康保険が9.85%、子ども・子育て支援金が0.23%、厚生年金保険が18.300%。この3つを足すと28.38%で、これを会社と本人が半分ずつ負担します。会社だけが負担する子ども・子育て拠出金0.36%を足すと、会社の持ち分は14.55%、本人の持ち分は14.19%です。
- 本人の分:標準報酬月額 × 14.19%(40歳未満)
- 会社の分:標準報酬月額 × 14.55%(40歳未満)
- 40〜64歳:本人も会社も、介護保険料の分として標準報酬月額 × 0.81%ずつ加わる
たとえば標準報酬月額28万円の36歳なら、本人の分は約39,700円、会社の分は約40,700円、合わせて月におよそ8万円です。額表の数字とは1円単位でずれることがありますが、資金計画の見当をつけるには十分です。会社設立の前後の資金計画では、まずこの目安で十分です。細かい手順は社会保険料の計算手順の記事にまとめています。
ここがポイント
報酬が出ていて社会保険に加入している限り、合計はおよそ「標準報酬月額の3割弱」。この目安を頭に入れてから、早見表で確かめる。
令和8年度保険料額表(東京支部)PDF|協会けんぽ全国健康保険協会(協会けんぽ)/確認日 2026年10月23日
金額は報酬で決まる:標準報酬月額別の早見表と年額

金額を見たいときは、役員報酬の月額に近い段を探します。ここでは、報酬の段をあえて飛び飛びに6つ選びました。年額は月額の12倍で、賞与は含みません。
| 標準報酬月額 | 本人負担(月) | 会社負担(月) | 年額(本人+会社) | 介護分(各自) |
|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 25,542円 | 26,190円 | 620,784円 | 1,458円 |
| 24万円 | 34,056円 | 34,920円 | 827,712円 | 1,944円 |
| 28万円 | 39,732円 | 40,740円 | 965,664円 | 2,268円 |
| 36万円 | 51,084円 | 52,380円 | 1,241,568円 | 2,916円 |
| 47万円 | 66,693円 | 68,385円 | 1,620,936円 | 3,807円 |
| 59万円 | 83,721円 | 85,845円 | 2,034,792円 | 4,779円 |
表を見て気づくのは、報酬が2倍になれば保険料も2倍に近づく、素直な比例だという点です。ただし厚生年金保険の標準報酬月額には上限があり、65万円で頭打ちになります。それより高い報酬になると、増えるのは健康保険料のぶんだけです。等級の境目で何が起きるのかは、役員報酬と標準報酬月額のカテゴリーで扱っています。

報酬を決める段階で、この表のどの段に当たるかを確かめておくと、会社設立1年目の人件費の見積もりが大きくはずれません。なお、役員報酬をゼロにして始める場合は、そもそも社会保険に加入しないことがあります。その扱いは会社設立と社会保険の加入を見てください。
厚生年金保険料額表(令和8年度版)PDF|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月23日
計算のしかた:標準報酬月額に料率を掛けて、半分に分ける

計算の型は3ステップです。1つ目は、報酬月額(通勤手当などを含む)を額表に当てはめて標準報酬月額を引くこと。2つ目は、その額に料率を掛けること。3つ目は、会社と本人で半分に分けることです。実際の人物で追ってみます。
36歳のLさんは東京都で会社設立をし、役員報酬を月28万円にしました。報酬月額28万円は、27万円以上29万円未満の段に入り、標準報酬月額は28万円です。ここに健康保険9.85%を掛けると27,580円、子ども・子育て支援金0.23%で644円、厚生年金保険18.300%で51,240円。この3つの合計は79,464円で、半分の39,732円がLさん本人の負担です。会社は同額の39,732円に、拠出金0.36%の1,008円を足した40,740円を負担します。
- 1. 標準報酬月額を引く報酬月額28万円 → 27万円以上29万円未満の段 → 標準報酬月額28万円
- 2. 料率を掛ける健保 27,580円・支援金 644円・厚年 51,240円(合計 79,464円)
- 3. 半分に分ける本人 39,732円。会社 39,732円+拠出金 1,008円=40,740円
端数の扱いも知っておくと、給与明細と額表のずれに戸惑いません。額表の注記によると、事業主が給与から本人負担を差し引くときは、円未満が50銭以下なら切り捨て、50銭を超えるなら切り上げです。事業主と被保険者のあいだに特約があれば、それに従ってかまいません。また、納入告知書の金額は、被保険者それぞれの額を合計し、円未満を切り捨てたものになります。
注意
このサイトの子記事では、別の人物・別の報酬額で同じ手順を追っています。自分の報酬額に近い例を探したい場合は、報酬別の計算例を開いてみてください。
厚生年金保険の保険料|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月23日
保険料率は都道府県と年度で動く:令和8年度の見方

金額を左右する要素のうち、自分では選べないのが保険料率です。協会けんぽの健康保険料率は、法律で千分の30から千分の130までの範囲内とされ、都道府県の支部ごとに決まります。令和8年度の料率は、令和8年3月分(4月納付分)から適用されています。
| 支部 | 健康保険料率 | 標準報酬月額30万円の健保折半額 |
|---|---|---|
| 新潟 | 9.21% | 13,815円 |
| 東京 | 9.85% | 14,775円 |
| 福岡 | 10.11% | 15,165円 |
| 大阪 | 10.13% | 15,195円 |
| 佐賀 | 10.55% | 15,825円 |
料率の差がどれほどの金額になるのかを、標準報酬月額28万円で置き換えてみます。新潟と佐賀の料率差は1.34ポイントで、28万円に掛けると月3,752円です。折半なので、本人は1,876円、会社も1,876円。年間では、会社と本人を合わせて4万円余りの開きになります。これに対して、厚生年金保険料率18.300%、介護保険料率1.62%、子ども・子育て支援金率0.23%は全国で同じです。
もう1つ見ておきたいのは年度です。東京都の健康保険料率は、令和7年度の9.91%から令和8年度に9.85%へ下がりました。年度が変わると、料率の見直しで数字が動くことがあるため、前の年度の記事や資料の金額をそのまま使わず、必ずその年度の額表を取り寄せて計算します。47都道府県を並べた比較は都道府県の違いを役員報酬30万円で比べた記事に、料率の確かめ方は令和8年度の都道府県別料率に載せています。
注意
健康保険組合に加入している会社は、協会けんぽではなく組合ごとの料率で計算します。協会けんぽの額表が使えるのは、協会けんぽに加入している場合です。
令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|協会けんぽ全国健康保険協会(協会けんぽ)/確認日 2026年10月23日
会社負担と本人負担:折半のしくみと、会社だけが持つ拠出金

社会保険料の負担者を整理します。法律上、被保険者と事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担します。事業主は、自分の負担分と使用する被保険者の負担分を、あわせて納める義務を負います。社長1人の会社では、被保険者は社長本人です。

ここで間違えやすいのが、似た名前の2つです。子ども・子育て支援金は、健康保険料とあわせて納める新しい負担で、本人と会社が半分ずつ持ちます。子ども・子育て拠出金は、児童手当の費用などに充てるもので、会社だけが負担し、被保険者の負担はありません。額表の注記にも、拠出金は被保険者の厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額に0.36%を掛けた額の総額で、被保険者の負担はないと書かれています。
本人負担の分は、翌月以降の役員報酬から差し引いて預かります。会社負担の分は、会社の経費として支払います。会社と本人の分け方を、モデルの数字で見比べたい方は、会社負担と本人負担の記事が役に立ちます。いつ・どう納めるのかは会社設立後の社会保険料の支払いのカテゴリーに続きます。
健康保険法 第161条(保険料の負担及び納付義務)|e-Gov法令検索e-Gov法令検索(デジタル庁)/確認日 2026年10月23日
介護保険と子ども・子育て支援金で、いくら増えるのか

標準の3つの保険料に上乗せされるものが2つあります。1つ目は介護保険料です。40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人は、介護保険の第2号被保険者となり、健康保険料とあわせて納めます。協会けんぽの介護保険料率は全国一律の1.62%で、令和8年3月分から適用されています。標準報酬月額28万円なら、本人も会社も月2,268円ずつです。
2つ目は子ども・子育て支援金です。子ども家庭庁は、令和8年4月保険料(5月に給与天引き)から拠出が始まり、被用者保険の令和8年度の一律の支援金率は0.23%、基本的に半分は企業が負担すると説明しています。標準報酬月額28万円なら、本人も会社も月322円ずつです。こちらは年齢に関係なく、健康保険に加入していれば対象になります。

たとえば5月1日が40歳の誕生日の人は、誕生日の前日の4月30日が属する4月分から、介護保険料が徴収されます。誕生日が月の初日の人は、1か月早く始まる点に注意が必要です。40歳になったときや65歳になったときに、届書を出す必要はありません。額面の考え方と年齢の節目は40歳・65歳になる月の社会保険料に、2つの上乗せの全体像は介護保険料と子ども・子育て支援金の上乗せに詳しく書いています。
介護保険制度と介護保険料について|全国健康保険協会 茨城支部全国健康保険協会/確認日 2026年10月23日
従業員を雇うと、社会保険の会社負担はいくら加わるのか

社長1人で会社設立をした場合でも、いずれ従業員を雇う場面が来ます。従業員が社会保険の被保険者になると、社長の分とは別に、従業員ごとの保険料が加わります。会社が持つ部分は、東京都・令和8年度・40歳未満なら標準報酬月額の14.55%、40〜64歳なら介護保険料の分を足した15.36%です。
モデルを置いてみます。月給25万円の従業員Mさんは、報酬月額が25万円以上27万円未満の段に入り、標準報酬月額は26万円です。Mさんが38歳なら、会社が持つのは月37,830円(健保12,805円・支援金299円・厚年23,790円・拠出金936円)。Mさんが45歳なら、介護保険料2,106円が加わって月39,936円です。1年にすると、前者は453,960円、後者は479,232円になります。
| 従業員の年齢 | 会社負担(月) | 会社負担(年) | 本人負担(月) |
|---|---|---|---|
| 38歳(介護なし) | 37,830円 | 453,960円 | 36,894円 |
| 45歳(介護込み) | 39,936円 | 479,232円 | 39,000円 |
会社が持つ社会保険料は、給与の額面にそのまま上乗せされる人件費です。従業員1人あたりの総額を見積もるときは、給与、会社負担の社会保険料、そして別に労働保険の会社負担分を足します。労働保険(労災保険・雇用保険)は社会保険とは別の制度で、その考え方は社会保険と労働保険の違いに整理しています。月給25万円の従業員を雇った場合の年間の人件費の見積もりは、従業員を雇うと会社負担はいくら増えるかで追えます。
保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月23日
年額と賞与まで足して、資金計画の数字にする

ここまでの金額は、月額です。事業計画に載せるときは、1年分に直します。Lさん(36歳・標準報酬月額28万円)の月額は、会社と本人を合わせて80,472円。12か月で965,664円です。会社設立の1年目は、報酬を払い始めた月からの月数で数えるので、12か月に満たないこともあります。
賞与を出す会社は、その分も足します。賞与の社会保険料は、実際の賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、月々と同じ料率を掛けて計算します。Lさんが夏に賞与80万円を出したとすると、料率28.38%を掛けた227,040円が合計で、本人の113,520円と、会社の113,520円に拠出金2,880円を加えた116,400円に分かれます。年額は、月額分965,664円に賞与分229,920円を足して、1,195,584円です。
| 区分 | 本人負担 | 会社負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 月額(12か月) | 476,784円 | 488,880円 | 965,664円 |
| 賞与80万円(1回) | 113,520円 | 116,400円 | 229,920円 |
| 年額 | 590,304円 | 605,280円 | 1,195,584円 |
賞与には上限があります。額表の注記では、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は年度の累計573万円、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は1か月150万円です。賞与にかかる保険料は、毎月の保険料と合算されて、賞与を支払った月の翌月の納入告知書で知らされます。社長1人の会社の賞与は、税金の扱いが絡むので、損得の判断はこのサイトでは行いません。
保険料の金額が、見込みや通知書とずれて見えるときは、年齢・所在地・加入先・端数・報酬の範囲の5点を疑います。時期を追って確かめたいときは、支払いのカテゴリーを見てください。
従業員に賞与を支給したときの手続き|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月23日
まとめ:いくらかは「報酬・年齢・都道府県・年度」の4点で決まる

設立後の社会保険がいくらになるかは、4つの条件で決まります。報酬をいくらにするか(標準報酬月額)、本人が何歳か(介護保険料が入るか)、会社がどの都道府県の支部に属するか(健康保険料率)、そして今が何年度か(料率の見直し)です。この4点がそろえば、額表1枚で自分の金額が出せます。
- 役員報酬の月額から、額表で標準報酬月額を引く
- 年齢が40〜64歳なら、介護保険料の列を選ぶ
- 所属する協会けんぽの都道府県支部と、その年度の額表を使う
- 本人負担と会社負担を分け、会社負担には拠出金0.36%を足す
- 賞与があれば標準賞与額に同じ料率を掛けて、年額に直す
報酬額が決まっていない、あるいは報酬をゼロにするか迷っている方は、先に社会保険に加入するかどうかを判定すると、この記事の金額を使う意味が定まります。いつから保険料が発生するのかは社会保険はいつから?で、毎月の納め方は社会保険料の支払いで続きを読めます。厚生年金の部分を詳しく知りたい方は会社設立と年金も参照してください。
保険料率や制度は年度ごとに変わります。この記事の数字は2026年10月23日に確かめた令和8年度のものです。最新の内容は、協会けんぽと日本年金機構の公式ページで確認してください。届出や保険料の算定に迷うときは、管轄の年金事務所か社会保険労務士に相談するのが確実です。
令和8年度保険料額表|都道府県毎の保険料額表|協会けんぽ全国健康保険協会(協会けんぽ)/確認日 2026年10月23日
最後に、読んでくださったあなたへ
社会保険料は、仕組みを知らないうちは不安の種ですが、報酬・年齢・都道府県・年度という4つの条件を並べてしまえば、驚くほど素直な計算です。会社設立の計画を立てている段階なら、候補にしている役員報酬を2つ3つ置いて、この記事の目安と早見表で月額と年額を出してみてください。数字が見えると、報酬の水準も、事業の資金計画も、落ち着いて考えられるようになります。