会社設立後、初回の社会保険料はいつ・いくら払う?加入した月から納付期限までの流れ
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会社を設立して社会保険に加入した、またはもうすぐ加入する社長に向けた記事です。「最初の保険料はいつ引き落とされるのか」「会社の口座にいくら用意しておけばいいのか」「役員報酬から本人分を差し引くのはどの月からか」を、設立したばかりの資金繰りの目線で確かめたい方を想定しています。
初回の社会保険料は「加入した月の分」を「翌月末日」までに

会社設立をして社会保険に加入すると、最初に気になるのが「いつ、いくら払うのか」です。答えの骨組みは単純で、加入した月の分の社会保険料を、その翌月の末日までに会社が納めます。4月に加入したなら4月分を5月末日まで、という形です。
健康保険法第164条と厚生年金保険法第83条は、どちらも「毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない」と定めています。日本年金機構も、納付期限は納付対象月の翌月末日で、末日が休日なら翌日以降の最初の営業日だと案内しています。
社会保険料とは、健康保険料(40〜64歳は介護保険料を含む)、子ども・子育て支援金、厚生年金保険料をまとめた呼び方です。このうち納付の窓口は日本年金機構(年金事務所)で、協会けんぽの健康保険料も厚生年金保険料と一緒に納めます。労災保険・雇用保険の労働保険料は別の仕組みなので、この記事では扱いません。
時期の面でも、会社設立の直後は、登記の費用や備品の購入で口座のお金が減っているうえ、売上の入金はまだ先、という時期です。そこへ加入した翌月の末日に、社長自身の社会保険料が会社負担分と本人負担分の両方まとめて出ていきます。初回の支払いは、設立1年目の資金繰りのなかでも早い段階でやってくる固定的な支出だと考えておくと、準備の順番がつけやすくなります。
ここがポイント
初回の納付期限は「加入した月の翌月末日」。会社設立が月の何日でも、加入した月の分は1か月分です。
納付期限|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日
会社が納める総額は、会社負担と本人負担と拠出金の合計

年金事務所に納める金額の中身を分けておきます。健康保険料・介護保険料・子ども・子育て支援金・厚生年金保険料は、会社と被保険者(加入している本人)が半分ずつ負担します。会社は本人負担分を役員報酬から差し引いて預かり、会社負担分と合わせて納めます。
これとは別に、子ども・子育て拠出金という、会社だけが負担するものがあります。協会けんぽの保険料額表では、拠出金の額は被保険者それぞれの厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額に拠出金率0.36%を掛けた額の総額とされ、被保険者の負担はありません。2026年4月分から始まった子ども・子育て支援金(労使折半、0.23%)とは名前が似ていますが別の制度です。
| 項目 | 誰が負担 | 東京都・令和8年度の率 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 会社と本人で折半 | 9.85% |
| 介護保険料(40〜64歳) | 会社と本人で折半 | 1.62% |
| 子ども・子育て支援金 | 会社と本人で折半 | 0.23%(令和8年4月分から) |
| 厚生年金保険料 | 会社と本人で折半 | 18.300% |
| 子ども・子育て拠出金 | 会社だけ | 0.36% |
標準報酬月額は、毎月の報酬を一定の幅で区切った「保険料を計算するための月額」です。率はこの標準報酬月額に掛けます。社長1人の会社設立では、会社負担分も本人負担分も、結局は同じ会社の口座から出ていくお金です。資金繰りを考えるときは、合計額で見ておくのが実用的です。
令和8年度保険料額表(東京支部)PDF|協会けんぽ全国健康保険協会(協会けんぽ)/確認日 2026年10月11日
計算例:役員報酬月30万円・東京都で、初回に納める額

具体的な人物で計算します。38歳のHさんは東京都で4月10日に会社設立をし、同じ日から役員報酬月30万円で社会保険に加入しました。報酬月額30万円は、標準報酬月額30万円の等級(報酬月額29万円以上31万円未満)に当たります。前提は「令和8年度・東京都・協会けんぽ・38歳(介護保険料なし)」です。
| 項目 | 本人負担 | 会社負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 14,775円 | 14,775円 | 29,550円 |
| 子ども・子育て支援金 | 345円 | 345円 | 690円 |
| 厚生年金保険料 | 27,450円 | 27,450円 | 54,900円 |
| 子ども・子育て拠出金 | なし | 1,080円 | 1,080円 |
| 合計 | 42,570円 | 43,650円 | 86,220円 |
Hさんが5月末日までに納める4月分は86,220円です。もしHさんが45歳なら、介護保険料が本人2,430円・会社2,430円加わるので、本人負担45,000円、会社負担46,080円、合計91,080円になります。

- 4月10日の加入なのに、4月分を丸ごと払うのですか?
- はい。社会保険料は月単位で、加入した月は日付にかかわらず1か月分です。日割りの計算はありません。
- 4月25日に払った最初の役員報酬からも差し引くべきでしたか?
- 法律上、報酬から差し引けるのは前月分の保険料です。4月25日の報酬から差し引く前月(3月)分はないので、差し引かないのが基本の形です。
- 会社設立の初年度だけ保険料が安くなる仕組みはありますか?
- 会社設立の年だからといって社会保険料の率が変わる仕組みはありません。標準報酬月額と年度・都道府県の率で決まります。
ほかの報酬額でどうなるかは社会保険料はいくら?計算のしかたで、会社負担と本人負担の分け方は会社負担と本人負担で詳しく扱っています。役員報酬の月額がどの等級に当たるかは役員報酬と標準報酬月額で確かめられます。
令和8年度保険料額表(東京支部)PDF|協会けんぽ全国健康保険協会(協会けんぽ)/確認日 2026年10月11日
本人負担分は、どの月の役員報酬から差し引く?

会社が本人負担分を役員報酬から差し引くときのルールも、法律に書かれています。健康保険法第167条と厚生年金保険法第84条は、事業主は報酬を支払うときに、被保険者が負担すべき「前月の標準報酬月額に係る保険料」を報酬から控除できると定めています。日本年金機構の説明も、当月支払う給料から前月の標準報酬月額にかかる保険料を差し引くことができる、という書き方です。
Hさんの会社が役員報酬を毎月25日に払うとすると、4月25日の報酬からは社会保険料を差し引かず、5月25日の報酬から4月分の本人負担42,570円を差し引きます。会社はその預かったお金と会社負担分を合わせて、5月末日までに4月分を納めます。

社長1人の会社では「本人負担を差し引く」と言っても、払う側も受け取る側も自分です。それでも、役員報酬の明細で本人負担分を正しく差し引いておかないと、源泉徴収する所得税の計算や、会社の帳簿の上で数字が合わなくなります。給与計算の細かな処理は顧問の税理士や社会保険労務士に確かめてください。
健康保険法 第167条(保険料の源泉控除)|e-Gov法令検索デジタル庁 e-Gov/確認日 2026年10月11日
納入告知書が届く時期と、3つの払い方

保険料の金額は、会社から届け出た資格取得や標準報酬月額をもとに日本年金機構が計算し、毎月20日ごろに「保険料納入告知書」で知らせてきます。日本年金機構の案内では、毎月10日ごろに前月分を確定し、20日ごろに送付するとされています。郵便事情や転送届の有無で届くのが遅れることがあり、届かないときは管轄の年金事務所に連絡して再発行を頼むよう書かれています。
口座振替
「保険料口座振替納付(変更)申出書」に記入し、金融機関の確認を受けて年金事務所か事務センターに出す。振替の結果は「保険料納入告知額・領収済額通知書」で知らされる。
窓口・電子納付
届いた保険料納入告知書を金融機関の窓口に出して納めるか、告知書に書かれた収納機関番号・納付番号・確認番号を使ってPay-easyで納める。
口座振替は、申出書を出して手続きが済むまでは使えません。会社設立の直後で手続きが間に合わないうちは、届いた告知書を使って窓口か電子納付で納めることになります。初回の納付期限を過ぎないよう、5月20日ごろに告知書が届くかどうかを気にかけておくと安心です。
届いた告知書は、会社の帳簿づけの資料にもなります。社長1人の会社でも、本人負担分(役員報酬から預かったお金)と会社負担分(会社の費用)を分けて記録しておくと、決算のときに顧問の税理士とのやりとりがスムーズです。会社設立の最初の月から、告知書を月ごとに綴じておく習慣をつけておくと便利です。
注意
口座振替の申出書や新規適用届の書き方・提出先は、このサイトでは扱いません。「会社設立後の手続き」のテーマのテーマで確かめてください。
厚生年金保険料等の納付|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日
設立1年目の資金繰り:報酬月額ごとに毎月いくら出ていくか

初回の納付が済んでも、社会保険料は毎月続きます。会社設立の1年目は売上が読みにくいので、役員報酬の月額ごとに、会社の口座から毎月いくら出ていくかを把握しておくと資金繰りの計画が立てやすくなります。前提はここでも「令和8年度・東京都・協会けんぽ」です。

たとえば標準報酬月額41万円なら、40歳未満でも会社は毎月117,834円を納めます。社長1人の会社では、このほぼ半分を役員報酬から差し引き、残りを会社の経費として負担する形です。報酬の額をどう決めるかは、事業の資金計画と税金の話も絡むので「節税・会社員の会社設立」のテーマに委ねますが、社会保険料が報酬額に応じて毎月これだけ動く、という数字は早めに手元に置いておきたいところです。
1年目に気をつけたい点がもう1つあります。社長が年度の途中で40歳になると、その後の保険料に介護保険料が加わり、表の「40〜64歳」の列に移ります。また、子ども・子育て支援金は2026年4月分から始まったばかりで、率は年度ごとに見直されることがあります。表の数字は令和8年度のものなので、翌年度以降は協会けんぽの保険料額表で確かめ直してください。
41万円の等級のように、項目によっては本人負担に50銭の端数が出ます(健康保険料20,192.5円など)。表の本人負担は、端数を含めたまま足し合わせた額です。報酬から差し引くときの端数は、50銭以下を切り捨て、50銭を超えると切り上げるのが原則です(会社と本人の間に特約があれば特約に従います)。
厚生年金保険料額表(令和8年度版)PDF|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日
初回の納付が遅れたら:督促と延滞金の決まり

設立したばかりの会社では、告知書が届いたことに気づかなかった、口座の残高が足りなかった、ということも起こりえます。納付期限までに納めていない場合、日本年金機構は後日、指定期限を設けた督促状を送るとしています。厚生年金保険法第87条は、督促をしたときは、納期限の翌日から完納の前日までの日数に応じて延滞金を徴収すると定めています。
延滞金の割合は、法律の本則では年14.6%(納期限の翌日から3か月を経過する日までは年7.3%)ですが、実際には特例の割合が使われます。日本年金機構の表では、令和8年1月1日から12月31日までは、納期限の翌日から3か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以降が年9.1%です。初回からつまずかないよう、告知書が届く日と納付期限を手帳に書き込んでおくのがいちばんの対策です。
延滞金は、納付が遅れた保険料額(1,000円未満は切り捨て)に、遅れた日数に応じた割合を掛けて計算されます。初回の4月分86,220円を数日遅らせただけなら金額は大きくありませんが、督促状が届くこと自体が手間ですし、遅れが続けば割合も上がります。会社設立の年は、ほかの税金の納付期限も次々に来るので、社会保険料の納付期限を一覧にまとめておくと抜けを防げます。
一時的に納めるのが難しい事情があるときは、換価の猶予や納付の猶予という仕組みもあります。どれが使えるかは事情によるので、期限を過ぎる前に管轄の年金事務所に相談してください。届出そのものが遅れてしまった場合の考え方は5日を過ぎた・遅れたときで扱っています。
延滞金について|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日
まとめ:初回の社会保険料は、加入月・翌月20日・翌月末日の3点で押さえる

会社設立後の社会保険料の初回は、加入した月の分を、翌月20日ごろに届く納入告知書にしたがって、翌月末日までに納めます。役員報酬から差し引く本人負担は前月分なので、加入した月の報酬からは差し引かず、翌月の報酬から差し引くのが基本の形です。
- 4月加入なら、4月分を5月末日までに納める
- 納入告知書は毎月20日ごろ。届かなければ年金事務所へ
- 本人負担は5月の役員報酬から差し引く(前月分の控除)
- 東京都・令和8年度・報酬月30万円・40歳未満なら、会社が納める総額は月86,220円
- 期限を過ぎると督促と延滞金。納めにくければ早めに相談
加入日そのものがいつになるかは社会保険はいつから?加入日の考え方で、社長1人の会社が加入するかどうかの判断は社長1人の会社の加入義務で確かめられます。月末加入や賞与などで初回の額が見込みと違うときは、同じカテゴリーのもう1本の記事を見てください。
厚生年金保険料等の納付|日本年金機構日本年金機構/確認日 2026年10月11日
最後に、読んでくださったあなたへ
会社を設立した最初の月は、登記や口座開設に追われて、社会保険料のことは後回しになりがちです。けれど、翌月20日ごろに告知書が届き、その月末が期限という流れさえ頭に入っていれば、初回の支払いで慌てることはありません。この記事の表を見ながら、加入した月の翌月末に必要な金額を、会社の口座に先に取り分けておいてください。金額や控除の処理に迷うときは、届いた告知書を手元に置いて、年金事務所や社会保険労務士に確かめてみてください。
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